来し方行く末を訪ねて [法人の立ち上げ]
1、社会福祉法人の立ち上げ
三十数年前の社会は福祉に理解が浅く、障害者と其の家族にはとても住みにくい社会でした。苦労をしてやっと入園出来た児童施設も十八歳になると必ず退園しなければなりません。其の後、何処にも受け入れてくれる場所等有りません。重い障害を持った子を家に迎え共に生きて行く事に疲れ果て、子を道ずれに命を絶つ親の話が後を絶ちませんでした。
親子が共に生きて行くには、自分達で入所施設を作り、運営する以外に道は有りません。如何したら、施設を作る事が出来るか真剣に検討を重ねました。社会福祉法人を立ち上げ、行政や支援団体の援助を受け施設を作り、運営して行く以外方法の無い事を知りました。それにしても想像を絶する自己資金が必要な事を知り愕然と致しました。
然し、此の儘、座して黙するのみでは親子共に死を待つばかり。力を合わせ行動を起こせば開ける道も有るだろうと、不安を抱きながらも、親達は社会福祉法人の立ち上げに向けて家や屋敷を担保に資金作りを始めました。
一方、此の様に吾が身と家族を犠牲にした、献身的な同志の行動を無駄にさせてはならじと、他の親達も資金のカンパを始めました。そして、紆余曲折の末、施設建設に向け漸く社会福祉法人を立ち上げる事が出来ました。